雪中ブルベ

スポーツ自転車に乗り始めてからずっと一人で走っておりました。
昨年秋、ポン助と二人で走る機会を得て「いつかは何かのイベントに」と考えるようになりました。
かつては「絶対無理!!」と思っていたブルベ(認定型長距離自転車走行会)に参加しようと思ったのは、昨年秋にロードバイクを組んだ頃からだったかな!?
今年はAudax Japanの会員にもなったので「200kmくらいは完走したいなぁ」と言うくらいの気持ちで申込期日ギリギリにエントリー、BRM 泉佐野 200kmに参加することにしたのですが、結局は大雪のため中止と思わぬブルベデビューとなってしまったのでした。

ブリーフィングへ

朝5時前に起床。
とにかく寒さ対策に着込みます。まずは足、レッグウォーマーをはいた上からタイツをはき込み靴下も二枚重ね、さらにライディングニッカを履き込みます。上はオーソドックスに4枚重ねSUGOIのウィンドブレークジャージの下にウインタージャージという、普段ではまずしない着込み方。さらにはウィンドブレーカーやカッパもリュックに入れてあります。ヘルメットはLAZAR GENESISでいきたかったのですが、悪天候を見越してバイザー付きのOGK REGASをチョイス。
ほとんどパッキングはすんでいたのですが、色々気になって結局家を出たのは6時過ぎ。高速を使ったのですが、途中泉大津PAでトイレ休憩して、現地到着が結局7時20分前。
大急ぎで自転車を組んでいると向こうでブリーフィングが向こうで始まる様子が見えましたorz
荷物をまとめて、自転車装を整えて、受付でブルベカードを記入して検車を受けていると「それ新しい方のヤツですか!?(FCT)19ですよね!?」と声をかけてくださる方もいらっしゃったり、嬉しいものっすね。さらにあたふたとしているとこちらの自転車を見て「後輪がエンドにはまりきってないですよ」と声をかけてくれる方までいて…。
なんだかんだであっという間に8時出発組みの集合が告げられ、自転車を置いていた場所近辺がスタート地点になったので8時組の最初にスタートさせていただくことが出来ました。

スタートから上の空

慌ててのスタートだったためか結構長いこと上の空。
先行する人が多かったので、あえて無理して追わずマイペースで行く。それでも数人の集団で抜きつ抜かれつしているちょこっと後ろに尽かせてもらって、橋などのアップダウンをこなしていく。どうやらその集団のほとんどの人が「初参加」であったらしく、道をちゃんと知っている経験者は一人だけだった模様。
信号待ちやら踏み切り通過やらでボチボチと前走者が行ってしまったので、和泉鳥取くらいまで一人で走る。
ボーッとそのまま走っていると向こうから引き返してくる一団の先頭の人ががハンドサインをくれました、どうやら左折ポイントを過ぎてしまっていたようでした(^^;

雄ノ山峠〜大垣内通過チェックポイント

和泉鳥取で曲がり直すと結構多くの人が連なって走っているのに追いつきます。
道中停まって雨具を着込む人も増えてきます。そういえば先ほどからみぞれのようなあられのような天気です。
気にせずに走っているうちに、「できれば集団走にならないように」と言われていた10人近くの集団が出来上がり、その最後尾になって、何人かの人を追い抜いていく形になっていました。

どうやらこの道が雄ノ山峠への登りらしいのですが、噂に聞く以上に楽でした(^^; って人様の後ろについていたのでそれは楽だったのですが、緩やかなアップダウンで谷の道を進み、気がつけば高度が稼げているとかそんな印象。道中至る所にに「熊野街道にゴミを捨てないで」という看板などが立っていました。さて、ついていた集団が次第にペースダウンしてきているようだったので前走数台をパスして、三人ほどの小集団で最後の峠道をクリア。ダウンヒルを前に一台がおそらく着込みのために停車したので、前走のDE ROSA乗りさんと一気にダウンヒル。って怖いくらいの九十九折り激下り。

ここで「リュックは失敗だったなぁ」と思いました。重心の高い背負いやすいDeuter CROSS AIRなのですが、ドロップポジションになると視界確保のため顔を上げると首と干渉するのです。
ともかく派手にブレーキを鳴らしながらそぼ降るみぞれの中爽快にダウンヒル、最後の直線が気持ちよかった…って手前で左折するの忘れてました。
下の信号で数人がたまって「右ですよね」「左ですよね」と不安そうな様子になっていたのでリュックに着けてあったMiO P350を取り外して起動したままにしてあったMappleでコースを見るとやはり一本右に出ていたので「あっちの信号ですね」と確認。

ここからは大きな道にはあまり乗らず古い街道を縫うようにして行く。またもや大きめの集団になってしまっていたのですが、今回は特に離されることなくしずしずと雨中を進んで行く。紀ノ川を渡って向こうの里道は細く渋滞しがちなのでゆっくりと、「もうすぐ通過チェックだ」とはやる気持ちを抑えていると、見えてきたローソン大垣内の駐車場でスタッフが大きく手を振って迎え入れてくれました。

チェックポイントで降車、名前を告げて自転車を停めて、おにぎりとパウンドケーキとコーヒーで補給。それほど疲れを感じていなかったのですが雨は強くなってきており、ほどほどのところで出発。
この時グローブの下に薄いゴム手袋を着けたのですが、ウィンドブレーカーなりカッパを着込むことをまだためらっていたのです…。

雨はかつらぎ過ぎに雪へと変わるだろう

船戸駅前Y字までのちょっとした距離は一人旅。
ここでようやくウィンドブレーカーを着込むためにストップ。ここでカッパを着込めば良かったな…と後になって思いました。
次々と自転車が苦労してY字をパスしていく後ろについて一人で渡ると、先ほどパスしていった最後尾の人をとらえることが出来ました。この人とはペースが似ていたのか、抜きつ抜かれつしながら、度々停まってMiOでルート確認。しばらくすると一人旅になりました。
延々と続く桃山の桃畑!?道を辿るうちに気力が徐々に萎えてきます。龍門あたりでは道も錯綜していて行ったり戻ったり、本当のルートはここいらでアップダウンを繰り返しているのですが楽な川沿いに突っ込んでいく人もいたり(^^; 馬鹿正直に正規ルートに戻ってしばらく行きます。
かつらぎ町の看板を見るあたりでいよいよみぞれが大粒の雪に変わり始めました。
川沿いの道にはいると、一気にみんながペースダウンしたのか十数台の車列が出来ていたので、またもやそこにつかせてもらいました。この集団も離合集散を繰り返しながら次第にばらけ、最終的に前走三台の後ろにつかせてもらい黙々と走ります。ここいらでアイウェアをかけると雪汚れ&曇りで視界は確保できないし、ネックゲーターを口元まで上げるといつの間にか前後ろになっていたようで、商品タグが口元をふさいで危険な状態になるしで疲れもピークでした。さらにリュックの重みがじわじわと効いてきてブラケットポジションをとるのがつらくなって、楽な前ハンばかりを持っていたり、とどめはグローブが多量のの水分を含んだ上に雪を積もらせて指が凍ったようにいたくなってくるのです。この状態できんきんに冷えたSHIMANO謹製アルミのブレーキバーを触ると「カーボンに替えてくれ〜」と叫び声を上げたくなるほどの冷たさなのです。いや、カーボンにしたからといってどうとかは無しの方向で。

学文路駅を過ぎて数台をパスし前走者を追った時に膝裏に痛みが出たこともありましたが、とにかく気力を削ったのは指の感覚の無さ、前ハンの上でぎゅっと手を握りしめて、ブレーキングとシフトチェンジの時だけブレーキレバーを握るといった危険きわまりない運転をしておりました。なんせ握っている感覚もほとんど無かったので。
恋野橋を過ぎ、奈良和歌山県境過ぎ付近で前走者を見送って一度停車、グローブをとって申しわけ程度の振り回したりたたきつけたりして水分を切り、指の感覚が戻るのを待ちました。


雪の降る道を…この数十分後にはこの道も雪に埋もれていたことでしょう

さらに一人で進んでは停まり、もう一度指先の感覚が戻るのを待ちます。
ここいらで「PC1までは行こう、そこでDNF(やめる)宣言しよう」って思いました。いや、足はまだまだ残っている感じでした。しかし激しさを増す雪の降りの尋常じゃ無さに気持ちが完全に折れてしまったのですよ。
なんせフレームにも雪が凍り付き始めていましたから…。

PC1サークルK五条病院前店

ようやく丹原のY字を左折し五条病院瓶に入ったときは、心底ホッとしました。
スタッフが「大変やったでしょ!?」と声をかけてくださいます。
サイクリストたちが大集結する中、スタッフの方々が「もうちょっとここで停まっていてください」と声をかけられていました。どうやら何事か判断があるようです。すぐに「では集まってください」と声がかかります。
「この先は積雪のため危険なので、ここから引き返して200kmかせいでください」とのことでした。すぐさま引き返す元気な一団もおられましたが正直中止でなくてちょっと残念…なんて思っていました。とりあえず通過チェック報告をして店内で買い物を済ませ、ブルブル震えながら暖かいフォーをすすり込むと再び集合がかかります。
「帰路雄ノ山峠が通行不能の可能性が高いので今回のBRMは中止の判断が出ました、各自輪行など何らかの方法で帰ってください」とのことでした。
勧められたのは橋本まで戻って南海高野線天下茶屋まで、そこから本線でりんくうまでのルート。しかし橋本駅は遠いっすよ(ってかあとで気がついたんすが、三国ヶ丘でJRに乗り換えた方が早いっすよね)。
結局最寄りの一時間に一本しか来ない単線JR和歌山線五条駅に行くことにしました。ここでせめて大和二見に行っていれば…なんてのは後だから言えることっすね。
見やると弐號機のフレームには見事に雪が降り積もっていました。


凍り付く深緑號

一台奥が深緑號、さらにその前はレーシングカラーのPanaクロモリでした

サークルKで購入した軍手の上からビニール手袋を着けて出発。
ここから五条駅までのわずかな距離の間に数度後輪を滑らせてヒヤッとしたり、駅前の坂道を前に左足のビンディングがどうしてもはまらなかったりしましたがなんとか無事にJR五条駅に着くことができました。

五条駅にて

駅前では既に数人が輪行準備のパッキングを始めておられたので、こちらも急いでリュックから輪行袋とリヤエンドガードを取り出します。他の方々よりは手早くできたと思うのですが、ここで13時6分発の和歌山行きを逃がしてしまったのが後々までたたります。
駅舎に入り自転車を置き、りんくうまで1600円の切符を購入。トイレでヒートテックインナーだけでも着替えたりして、ガタガタ震えながら一時間の待ちを始めるわけなのですが、30分後の反対の奈良方面行きで異変が発覚します。まずは15分遅れとの放送、さらには五条駅大和二見駅間で竹(木!?)が雪の重さで架線にかかったとのことで、人員がそちらに向かっているとの放送、もちろん14時6分発の電車もなかなか到着しません。


雪の五条駅、外は一面の銀世界

高校生の集団はホームで雪合戦をしたりしているし、一般の客も何度も駅員に詳細を聞きに行っているしで騒然としていました。
何よりも輪行袋が七つも並んでいるという状況も一種異様に思えましたが(^^;
ようやくやってきた和歌山行きの列車は、14時30分発で桜井線経由で奈良駅に引き返すとの放送にげんなりとしてしまい、発車直前に判断してこの列車に乗りこむことにしました。前の車両のドア近くに輪行袋をもたせかけ、とにかく奈良方面を目指すことにしました。

りんくうまで

乗りこんだ車窓から見る奈良は一面の銀世界、どこのスキーリゾートに来たのかと見まごうほどでした。次の北宇智駅でも一人輪行袋を持った人が乗りこんでこられて、お互い苦笑いを浮かべながら目礼。
イレギュラーな電車なのでどうやら大和路線に連絡しているらしい高田への到着時間を予想してi-modeで路線検索をかけると、高田で大和路快速天王寺関空快速に連絡が出来そうだったので一安心。高田で降車、ボタンでドアを開けて大和路快速に乗り込み、ドア際の席の背に輪行袋をつないでなんとか座席に座り天王寺を目指しました。
3分遅れで天王寺着。検索では待ち6分と出ていたので急いで関空行きのホームに降りると和歌山行きの快速との表示。ガタガタ震えながら駅員に「これ関空に行きますか!?」と尋ねると「2両前の車両に乗ってください、前5両が関空行きです」とのこと。小走りで5両目に乗りこむと、すぐに発車と相成りました。

結び

りんくうに着いたのは16時40分頃、市内から堺にかけては積もっていた雪もここいらでは既に溶けていていました。
とにかく改札を出て暖をとるためにローソンに飛び込んで肉まんとココアを買い、店の前で食べていると、輪行袋を担いで降りてくる人が数人。互いに目礼を交わします。
駅を出て、初めて見る「シークル」の中を暖をとりながら通り抜け、プレミアムアウトレット横を過ぎて、どうやらスタッフやらサイクリストが数人いるファミリーマートを横目に見ながら右折、パーキングに入るとまたもや自転車を積み込んでいる人達がいたのでお互い声を掛け合って、こちらも一番奥に停めてあるマーチまで急ぎます。
輪行袋を車に押し込み、ここでようやっとシューズカバーをとったところ2枚重ねの靴下もズクズクに濡れておりましたのでこれも脱ぎ、素足でスニーカーに履き替えてちょっと生き返った気分。さらにはトイレでもちょこっと着替えをして車を出します。先ほどのファミマに行くと、話し込んでおられたのはやはりスタッフの方々だったのであいさつ。靴下を買って車内で履き込み、高速をゆっくりととばして自宅近辺へ。こちらはりんくう周りと違ってまだ雪が残っていたので注意して運転(実際救急車も出ていたので滑って転ぶ人も多かったのかな…)。
とにかく体を温めたかったのでラーメン四天王へ行って激辛味噌辣醤麺と餃子と明太子ごはんで内側から暖をとりました。
家に帰って風呂で体を温めて、なんとか一息つくことが出来たのでした。

今回の反省点は「雪をなめていた」ってことにつきます。もっと早くカッパを着込むべきだったし(ウィンドブレーカーでは防水性の面で難がありすぎでした)。手袋についてももうチョット真面目に考えるべきでした。また完全にスリックなレースタイヤではウェットコンディションはつらいかなとも思いました。さらにリュックは視界確保の面でもポジショニングの面でもロードバイクには適していないなぁと思いました。
今後!?さぁどうしようかなぁ…。

Tm: 03:24:17 / Dst: 72.62km / Av: 21.3km/h / Mx: 48.3km/h