豊能〜丹波篠山山岳(!?)ツーリング

大学時代のクラブの後輩ポン助が8月にロードバイクを買って、壮大な計画を立てていると知ったのは9月の頭。
それから何度かメッセージのやりとりをするうちに「一緒にツーリングをしよう」という話になった。始めのうちはこちらのホームグラウンドである淀川沿いの平地中心で120km…とか考えていたんですが、ポン助は「こっち(大阪北部の山中)で走りません!?」とか言いだしたのである。そう、彼は行きはダウンヒル/帰りはヒルクライムを必ずこなさなければならない立地に住んでいる山岳ツーキニストなのである。

DST: 117.5km
RT: 05h15m55s
AS: 22.3km/h
MS: 55.2km/h
ODO: 5107km
ART: 248h26m

この話が具体化してからは「山!?坂がいっぱい!?平地しか走れないので怖いっす、優しく引いてね」って感じだったのです。
が、覚悟は決めました。毎日の高回転練習にも目的意識ができましたよ。

そして今日、10時集合予定だったのが、再三の行楽渋滞に巻き込まれて、出走地点到着は11時過ぎ。
諸々の用意をして結局出走は12時になってしまいました。
初めてKRUSELLの自転車マウントにMio P350を着けての出走です。

地サイダーのある造り酒屋

細かいアップダウンを繰り返しながらゆるゆると10km。
まずは里山の風景を愛でながら地サイダーを売っている造り酒屋で休憩。

ポン助はともかく慣れないアップダウンに「まだ1/10しか走ってないんかぁ…」と焦っていたのはナイショで、ここではまだ余裕の表情です。

地サイダーはなかなか美味しくて、ついつい長っ尻。
休憩中にピンクのロードレーサーが3台連なって、結構なスピードで登っていきます。ジャージも揃いでピンクだったしNakagawaとかの人かな!?

堀越峠

さていきなり「登坂」です。いや、本当に「登坂」ってな感じの坂でした。
ポン助自体もこの坂を登るのは初めてのようでゆるゆると登っていきます。こちらも大学と人生と自転車の先輩の威厳と意地を見せなければならないので(!?)ぐんぐんと登ります。ってか、あんまりゆるりと登ると足が保ちそうになかったので、シッティングで足にトルクを感じながら回せるギヤを探っていると…結局前三枚のインナーで、一番軽いギヤを回しておりました。
途中間が空いたのを理由に足をついてポン助を待ち、ちょこっと休んで再び走りだします。十三峠や清滝峠の大阪側ほどではないにしろ、何しろほとんど直登の坂だったのでこれがキツイ!!
結局最後数10mは、禁じ手の「押し」を入れさせてもらいました。ポン助も押しを交えつつ、最後だけはチャリに乗って峠へ。

ここからは下りです、ひたすら亀岡まで下ります。
ポン助は下りでも綺麗に足を回し続けています。こちらはなんせ質量がでかい(ポン助は私より少し背が高いのに、クロスバイク一台分くらい軽い)ので、足を回せば前走のポン助の後輪をハスってしまいそうだったので、ブレーキレバーに指をかけながら、軽く尻を引いて、頭を下げて、慣性に任せて下っていきます。それでも抜いてしまいましたが。
ちょこっとした平地区間で右足腓腹筋が軽く攣りかけてきたりもしましたが回しているうちに何とか回復しました。

亀岡

法貴峠のつづら折りを下りきるとそこに広がるのは里山の田園風景。田の畦には曼珠沙華が葎をなして咲きほこり、早いところでは田の刈り入れも終わって小さな稲叢が立っている。写真に撮りたいような風景でしたが、ここはひたすら走ります。
平地区間では、道を把握しているポン助に任せて、ひたすら引いてもらいます。途中風が強くなってきたりもしましたが「引いてもらうって楽だなぁ」ってな感じで走り続けました。そんなこんなで亀岡駅近辺の市街地に出ると「保津川下り」なんて看板が出ていたりします。そうか、こっから嵐山ってそんなに離れてないんやな…とかよからぬことを考えてしまいました。

因みに亀岡法貴峠は中国攻めに向かった明智光秀が京へ引き返した場所なのですね。

さてさて、コンビニをようやく見つけてしばし休憩(冒頭写真)。
川沿いに電車が走っている様がとても正しく日本の秋の風景でした。

電車は写っておりませんが…。

観音峠

さて、亀岡から南丹市役所付近まではダラダラとアップダウンが続く平地区間
実はここまででまだ1/3も進んでいなかったので、黙々と先頭交代をしながら25km/h前後で巡航。ポン助が後ろに回った際「楽っすねぇ!!」と叫んでおりました。ええ、ええ。楽させてもらった分くらいは引き倒しましょうとも。
南丹市役所を過ぎると、中盤の難所観音峠にさしかかります。基本的にはダラダラと一定の斜度で続く登り坂。ここでもケイデンス重視でシッティングでの登り。何とか先輩の意地を見せ(?)登り切ったところにある観音トンネルを出たところで停車。
さすがに足に来はじめています。歴が短いとはいえ山岳ツーキニストのポン助は、スピードこそ上がらないものの、基礎体力の違いか、「足に来る」という感覚はないようでちょこっと悔しかったりしましたよ。

丹波マーケスで大休止

観音峠からのダウンヒルでなぜかポン助に追いつけないばかりか、来ましたよ、大腿四頭筋内側と腓腹筋の攣りが。
足をろくに回せない状況でしばらく平地を走るとポン助が目指していた道の駅「丹波マーケス」が現れます。
距離はようやく50kmちょっと。とにかく休憩を取って、マッサージをして、補給。ポン助が心配そうに「大丈夫っすかぁ!?」なんて言ってきやがります。先輩の威厳が…。

「道の駅」と言うことで、もっと風情のあるところを想像していたのですが、フードコートのあるスーパーと言った趣で、ポン助は親子丼、こちらは抹茶ソフトを頂きましたよ。

天王峠への道

ここからはダラダラと下ったり登ったり。
先ほどのマッサージと補給で蘇った足は素晴らしく(^^; 登り基調になると自然こちらが前を行く形になります。ポン助も「気にせんと自分のペースで行って下さい」と言うので、スイスイと暮れゆく夕陽を追いかけて登っていきます。
板坂峠のピークを過ぎ、しばらく平地を行くところで、引いていたポン助が停止の合図。かなり尻に来ていたようでした。
既に時間は16時半過ぎ。しばし小休止。

道ばたで曼珠沙華を見つけ、ちょこっと撮ってみます。

ここからが今回最高点に達する難所、天王峠への登りとなります。
道も見慣れたR173に入り、俄然やる気も出てきますが…登りにはいると一気にへこたれます。「あそこで登りが終わるはずやっ!!」という目測で登っていくと、ことごとくそれらの予測は外れ、さらには右手の山の少し上に道が見えたりします。「まさかあそこは通らんやろ…」とかおもっているとぐるりと右にターンして見えていた道に入っていって絶望感も一入。
それでも足を止めることなく、斜度によってインナー-1st / インナー-2ndを使い分けて、ダンシング無しで登っていきます。
ってか、サス付きバイクで、この体重で、それほど斜度のない坂で、下手なダンシングなどした日には一気に大腿四頭筋の疲れが爆発してしまいますって(^^;
この登りでわかったことは

くらいが丁度良い感じだと言うこと。
途中両腓腹筋がでんぐり返りそうになっておりましたが、しずしずと回すうちに脳の奥から色んな物質がにじみ出してきたのか、それも感じなくなり、天王トンネルにさしかかります。ここでポン助を待とうかとも思ったのですが、道はまだ上っていたのでトンネルを出て、集落が見えたところで「登りが終わった!!」と勘違いして停車。いや、よく見るとまだわずかに上っているんすが…。
ちょこっと待っているとポン助が追いついてきたのでしばし小休止。
「きつかった」「もう登りはないやろなぁ」なんて話をしながら暮れゆく山里を見やります。時間はそろそろ17時半、間もなく日没です。

真っ暗

ところがポン助がルーティングした道はまだまだ上ります。
「これで終わりやろっ!!」ってところまで登ったときには吠えました、ええ吠えましたとも。実はここが今回の最高到達点(と言っても600m超)だったようです。
ここからは暗闇のダウンヒル。つづら折りになったり直線になったりする道を、自分のちっこい前照灯を頼りに度胸一発で(!?)下っていきます。まさかここまで遅い時間になるとは思っていなかったので、非常用の灯りしかありません。

TOPEAK(トピーク) ホワイトライト/LPF031 LPF031/TMS006

TOPEAK(トピーク) ホワイトライト/LPF031 LPF031/TMS006

途中ポン助が前に出てからは、さすがにもう前に出る気力はありませんでした。
人里はまだ街灯があるので良いのですが、一旦山中にはいるとまるでどこにいるかわからず、ポン助の尾灯のみが頼りです。
ポ「スゲエ下りっすね、ご褒美って感じっすね」
wa「貯めに貯めた貯金を一気に使ったらこんなかんじかな」
ポ「とか言ってたらまた登りになってきましたよ」
wa「またもや借金生活やな」
ポ「その借金がまた貯金になりますって」
wa「杜子春やな、何となく(ちょっと違う)」
ポ「…」
wa「ほら、芥川の」
ポ「…」
wa「仙人に金持ちにしてもらってって話し」
ポ「wacさん、その話しまた後で聞きます」
なんて感じで話せているうちはまだ良かったのですが、実はもう相当へこたれておりました。
ここいらで100kmを越えて、何となくゴールが近づいてきました。
そのうちに堀越峠の登り口まで戻ってきました。
ポ「ここから登りのない道行きますね」
と言う言葉がどれだけありがたかったことか…。後でこれが罠だったと気付くわけですが。

人里を下っていると、一般車道のど真ん中をじいちゃんやばあちゃんが歩いているのでちょっとビックリしますが、問題は再び山中に入ってから。闇なのです。車道側のラインさえ見えないような闇の中、前走のポン助の尾灯を頼りに下ります。自分が今いる道が登りなのか下りなのかもわからず、シフトチェンジが遅れたり逆になったりで混乱してしまいます。
水の音が聞こえます。どうやら地図で見た知明湖というダム湖のようです。が暗すぎて水面は全く見えません。
ダムから離れるように左折したところで…
ポ「wacさん、悲しいお知らせがあります、最後ここからちょっとキッツイ登りです」
…え〜〜っ!!
ここで例のごとくポン助の速度が落ちたので、こちらも例のごとくギヤを一つ上げ、自分のケイデンスで登ろうとしたのですが…限界でした「登りはもう無いもの」という頭で筋力を酷使してきた足にもう貯金はなく、ポン助を抜いて数m、左大腿四頭筋内側が軽く痙攣したので緊急停車、慌ててトップチューブをまたぎ降りると、右腓腹筋も痙攣するので、未来號をどうこうする余裕もなく自分の体にもたせかけた、三角座りでマッサージ。
ポン助は「先行ってるんでゆっくり来て下さい」とゆるりと登っていきます。多分道行く車からは「転けた人」にしか見えない状態で数分、足を動かせるようになってきたので、改めてセンタースタンドで未来號を立てます。
心肺や意識はこれまでの100km超に比べてもしっかりしているのですが、先に足がどうにもならなくなっている感じなのが山岳ツーリングの恐ろしさ。本日2度目の押しを入れて登っていくとポン助が座って待っている。
ポ「大丈夫っすか〜っ!?」
wa「あぁ、え〜っと殺す気か
と本日心の中で何回も繰り返した言葉をぶつけてやりました。ポン助は笑っていやがりましたが。

ゴール

程なくゴール。
ポン助宅でお湯をいただき、プロテインをいただき、夕餉をいただき、お茶をいただき、蜜柑をいただき、ポン助宅愛犬パピアの歓待を受け、二人で反省会をしたりNHKのツール特集終盤のビデオを見たり(うちのは終盤が切れていたので)して結構いい時間までおじゃましてしまいました。
この後未来號をばらして車に積み込み、何とか日付が変わる前に帰還できました。

今回はルーティングや平地で引いてくれたポン助君、本当にありがとうございましたという感じのツーリングでした。
意外に山で足が回せることがわかったのも収穫でした。弐号機が完成したおりには、またどこかの山に…なんてことも考えてしまいます。お互い初めて他人とのツーリングだったと言うことで勝手はわからなかったものの、ポン助にたててもらったおかげで、わがままに楽しく走ることができましたよ。

因みに今回のツーリングで未来號でのODOがようやく5000km超になりました。