『鈴木祥子』鈴木祥子

さて鈴木祥子様のセルフ・タイトル・アルバム『鈴木祥子』がいよいよ一般発売になりました。1/20の会場先行発売で一足先に手に入れていたwacはしゃほに全曲つっこんで、くり返して聴いておりますよ。ミュージシャン名の音で並んでいるiTunes及びしゃほでは、うちの音源の中で祥子さんは最後に並びます。さらにこのアルバム名も最後に来るので、順送り再生モードで11回rewボタンを押すとこのアルバムが頭から聴けるのですよ。

さて5年強前の前アルバム『Love,painful love』でメジャーを離れて以降、「ライヴ中心の活動→好きな曲を好きな人とやる→京都へ移住→40」と歩を進めてきた祥子様。新曲はライヴの中で育てて、たまにシングルで出すという感じだったのですが、このアルバムの中の曲はさすがに全部聴いたことがありました。それなのになんだ?この充実具合は!いっぺんやにへん聴いただけでは物足りない、異常な名曲群なのです。

カーネーションも参加した「忘却」は間違いなくこのアルバムのハイライト…どころか彼女のロック人生においてもハイライトといえる曲なのではないでしょうか!?
wacがこの曲を初めて聴いたのは昨年6月の拾得、ピアノの弾き語りでした。翌日カーネーションを従えてのこの曲のすさまじさは今もって忘れ得ません。言葉が尖っているわけではありません。よくある循環マイナーコードの曲なんすよ。声も哀調を帯びてるけれど過剰ではない…でもこう胸の奥まで勝手に入り込んでくる具合はなんなんでしょう?この録音版では過剰なエフェクトはいっさい廃して、とてもストレートな録音がされています。ギターのヴィヴラートエフェクトの具合も聞き取れるくらいのスキマがあるのですよ。フロアタムだって「だんっ!!」ではなく「たんっ!」と控えめ。でもどうしようもなく迫ってくるんです、本当です。

そしてこの間のライヴでもエンディングだった「道」。
いかにも祥子さんだなあと思えるコード回しで淡々と歌われるこの曲、サビの寂しさが染みます。思えば祥子さんはいつだって「帰る場所」や「帰り道」について歌ってきました。齢40にしてこのロックっぷりはなんなのでしょう。帰る場所、たどり着くべき場所は、彼女自身が「ファザコン」だと公言しているとおりに愛すべき父性?のもとなのかなあ…とかいつも想像してしまうのはうがちすぎでしょうか?

とにかく聴き応えのあるアルバムです。
まだ転がってるんすよ、この人。
最小限の音で、最高のソウルを聴かせてくれるロック・アルバムです。
聴かないでどうします!?

鈴木祥子

鈴木祥子