初めての朝日美穂@梅田RAIN DOGS 2005.01.14

owner's log:今週はツアーだ! - livedoor Blog(ブログ)」で見かけて何となく「いってみようかな」と思い立った朝日美穂のライヴ。18:30前に到着して前売り料金を払って、入場。ハコ自体はそんなに大きくないんだけれど、2階まで吹き抜けの天井の高い作り(さらに吹き抜けから見下ろせる2階席もあり)、独特な内装も相まって結構ほわんとした雰囲気。
僕が入場した時刻にはまだ先客も4人程。ジンジャーエールでポテトを流し込んでいるうちになんだか眠くなってきたり。

ヒトリトビオ

気がつくと19時過ぎになり客席もそれなりに満員で、一発目のバンド「ヒトリトビオ」の演奏が始まりました。ゆったりカッチリした精緻なAG・VO/EB/TB/Drs編成での演奏は心地よく、目を閉じて聴いていると……………えっと、映像的な音楽だなというか、意識が落ちる寸前で夢を見ているようなそんな状態。
ブルージーな、ジャジーな音量の落ち着いた演奏と練られたアレンジに、ハイトーンなとぼけた少年声。結局何度もウトウトしながらMCの度に拍手してた感じでした。
また落ち着いて聴いてみたいっすね。

ニーハオ!

続いて出てきたのは赤(EB)、青(EB)、緑(Drs)のジャージに前髪ちょんまげ、というトリッキーな編成の「ニーハオ!」。パンキッシュかつプログレッシヴに練り込まれた不思議な演奏と声。スゲエ勢いで、ほぼMCも曲間も無しにたたみかける演奏。重ねたりリズミックに組み合わせたりハモったりと変幻自在の表情を見せる声。そして楽しそうな動きとはにかんだような表情。いやあすごかったっす。
ようやく眠気も落ち着いてきてウトウトせずにライヴを楽しめるようになってきたところで、彼女たちの演奏も終了。いやあ、圧倒されました。

朝日美穂

ニーハオ!が撤収して間もなくステージ上手奥に置いて合ったNORDのシンセが運び込まれ、ビールケースの上に設置してあったサンプラー音源と、シンセ上のオールインワン音源(シーケンサー!?)、エクステンション・ペダルなどがどんどん結線されていく。セッティングしている一人は小柄で華奢な女性で、異様にテキパキ・チャキチャキと作業をこなしている。「アレが朝日美穂!?」とか思っているうちにもペダルをテープで固定したり、結線を確認したり、PAブースとステージの間をかけずり回ったりしながら何とかセッティングが終わった模様。
やはりその女性が朝日美穂だったようで*1、羽織っていた濃緑のフード付きジャンパーを脱いできたかと思うと、音源のリズムパターンをスタートさせる。音は小さい。
歌のタイトルとかは全然確認していなかったんすが、とにかく手数が少ない。基本的には左手がベース、右手がコードで、オブリもあんまり入れない。右手で八つのコード刻み弾きをしていても、非常にグルーヴィーかつタイトな演奏で、音量も含めて非常に抑制的な表現。適度に情感的なウィスパリング・ヴォーカルのうまさも特筆ものだと思いました、はい。
曲数はそれほど多くもなく、基本的にpf/エレピ系の音色での弾き語りでおとなしいアレンジ中心だったにもかかわらず、全然飽きずに聴き入ってしまったのは、パフォーマーとしての彼女の魅力と曲が生きているところも大きかったかな!?と思っております。とにかく魅力的でした。小柄な体格と華奢な手足に比して少しアンバランスに大きい掌と頭(失礼)。セッティング時のチャキチャキぶりと比べてMCを始めるとフニャッとした声で目を細めて話す、不思議な年齢不詳さん。歌い出すと神降ろしをしているシャーマンのようで、最小限の動きで鋭いリズムを刻む左手をヒラヒラと存分に使って、抑制した分溢れた感情表現を存分に補完する。マイクの使い方も絶妙で、狭いハコという特性も活かして(?)、オフマイクのつぶやくようなカウントや歌、オンマイクにした時には、どんなに体を動かしていてもマイクの指向性のスポットを外さないようなそんな感じ。
終盤には「まったりした曲ばかりだから」と、懐かしの「勉強」を巧みに音源をコントロールしながらそれでもおとなしいアレンジで聴かせてくれました。ソウルフルでタイトなラップや「弾かない」表現などに夢中でしたね、ええ。続いて、めんちかつさん(id:nota10)もおすすめの名曲「唇に」*2をpfのみで演奏。
アンコールではニーハオ!が再登場して「私たち朝日さんの曲練習してきたんで、一緒にやりましょう!!」と呼びかける形で始まりました。Drsの「緑ジャージ」Leoさんが昨年末発売の『ホリアテロリズム』のM4「シルバーの四駆を追え」に参加しているとのことで、ニーハオ!のアレンジで披露。「立って歌えるの嬉しい!!」と、少し腰を落として膝を開いて歌う彼女はまさしくソウル・スター!?ちょっとバンドの音量に声量が負けておりましたが、そんなことも気にならない程楽しそうなステージ上の女子四人。さらにニーハオ!が退場して「ずっとまったりな曲ばっかりやってて、急に派手な曲やったら…みんなもりさがるかな!?」とのMCに客席から「フランボワーズやって」とリクエストが飛ぶ。「フランボワーズ…っていうとこの音だな」なんてサンプラーをいじりながら音を確認して、やおら立ち上がると「最近月一でライヴやっているんですけど、弾き語りばっかりで立って歌ったりしていないんで、立って歌えるのが非常に嬉しい、今日はカラオケでいきます」とMDをセットして歌い出す。曲の終わりでは座り込んでサンプラーを連打している姿が妙に微笑ましかったっす。
そして「あそこにピアノがある…」と下手奥のアップライトPfにトコトコと歩いていく。と、ピアノの椅子にニーハオ!の青ジャージ嬢のベースが横たえてあったので、それを片づけるかと思えば「ベースもある」とかまえるふりをして「弦楽器は一生の課題ですね」なんておどけてみせる一幕も。客席に背を向けて歌いだしたのは、wacが1st『ONION』で一番好きだった曲「しあわせをうたおう」。この曲を一人で聴いていて涙したことは一度ではありませんが、今回も歌い出しで涙腺がゆるんでしまいました。去年は鈴木祥子様のライヴで「Happiness」を、カーネーションのライヴで「からまわる世界」が聴けたのに続いて、僥倖、至福の時間となりました、切ねえ。
終演後は入り口でヒトリトビオのCDを購入して外に出ると、庭で高橋健太郎氏と思しき人がCDを売っていたので、とりあえず色々物色して声もかけてもらって、昨日の写真で上がっているアナログEP「MELT IN BLUE」と2002年に発売されていたミニアルバム「HOLIDAY」を購入。
ニーハオ!赤ジャージ嬢の自作ノベルティグッズ(?)の必死の販促活動に、客一同ほんわかと笑って、門近くにおられた朝日さんにも声をかけて、外に出たのでした。
いや、実際椅子5列程の4列目でなんの障害物も無しに彼女のライヴを観ることを出来たのはちょっと良い体験でしたし、できればまたこれくらいの規模で観たいなぁとも思いましたが、「もっと多くの人に聴いてもらいたいなあ」とも思いました。今回は大阪一年ぶりとのことでしたが、もっと間をおかずに来て欲しいものだと思いました。

*1:どうも「ショートカット」のイメージが強かったので、あともっと大きな人というイメージがありました

*2:はてな